冬亭夢裏の閑居宮

世界征服の道、いまだ半ば

スマートローラー(ELITE DIRETO X)導入

 

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・固定式クラシッククローラー〜ZWIFTレース参戦以前

 固定式ローラーの負荷方式は大きく分けると磁石を利用するマグネット式と油圧を利用するフルード式の2種類になります。
 マグネット式は速度(=ローラーの回転数)と負荷の変動比がほぼ一定(線形近似的)であるのに対して、フルード式は速度の増加に対して負荷の変動が大きい(指数近似的)ことが特徴です。
 この特徴によってフルード式のほうが実走感が高い(速度の増加による空気抵抗の増加(=負荷の増大)の再現性という意味)と言われます。一方、マグネット式は5〜7段階の負荷切り替えスイッチを設けて、負荷の切り替えができるようになっている機種が大半です。他の特徴としては、機構的な違いによって、マグネット式と比較するとフルード式は静粛性にかなり優れています。 

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ミノウラLR540(マグネット式)負荷カーブ

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ELITE QUBO FLUID (フルード式)負荷カーブ

 約20年前にミノウラのマグネット式ローラーを購入し、長く使っていましたが、6年前にエリートのフルード式ローラー(ELITE QUBO FLUID)に買い替えました。ミノウラのローラーがリムドライブだったことと、エリートのローラーの購入と同じ時期にパワーメーター(STAGESPOWER)を導入したこともあって、負荷的に追い込んだ練習ができるようになり、満足度はかなり高いものとなりました。
 5年ほど前にZWIFTを始めた時もフルード式ローラーとパワーメーターの組み合わせでしたが、当時はほぼワークアウトしかしていなかったため、画面上が平地でも上り下りでも関係なく、ただただ指示された出力を出せばいいワークアウトでは、それほどの違和感も感じず不満もあまりありませんでした。ZWIFT内のレースに参戦しはじめるまでは。

・ZWIFTレース参戦

  1年ほど前からZWIFT内で開催されるレースへの参戦をはじめました。
 レースではw/kgでのカテゴリー分けがされていることがほとんどで、欠けている要素や独自の要素(ロケットスタート…)はあるものの、展開は実際のレース同様となることが多く、特に登りでのふるい落としは実際のレースと変わりません。
 この登りでのふるい落としでは僕の参戦していたCクラス(2.5〜3.1w/kg)でも、5.0w/kg以上で1分以上踏まなければならない状況となります。僕の場合、5.0w/kgだと約350wとなるので、52×14で80回転前後で回すことになります(実走で40キロ弱相当)。
 本来の僕の走り方だと平地で80〜85回転、登りで70回転前後で回すこととなり、結構違和感がありました。また、回転数に余裕がないため、登りでのさらなるアタックへの対応ができませんでした。また、僕の環境では早朝・夜間にローラーを回すことが多いため、もう一つの見逃せない問題が出てきました。騒音です。

 ・騒音問題

 郊外の一戸建て住まいなので近所への騒音問題はありませんが、築50年をこえる古い家のため、ローラーの音は他の部屋までたっぷり響きます。
 昨年は春〜秋までは早朝は近所での周回練習をしていましたが、薄暮時は視力の問題があるのため、秋以降は早朝の自転車の練習は控えてランニングをしていましたが、春先に膝を痛めて以降ランニングもできなくなっていました。
 周回練習をしていたときから感じてたのですが、体質的に夜の練習よりも朝の練習のほうが調子がよく、日中も楽なのですが、早朝にローラーを回すことは騒音の面で抵抗がありました。ローラーをする物置部屋の真上の部屋で寝ている奥さんは気にしなくていいと言ってくれていましたが、それでも子供たちのこともあるし、早朝ローラー練に踏み切れないまま、早朝練再開の春を迎えようとしていましたが、春とともに余計なものもやってきました。コロナ禍です。

・スマートローラー導入へ

 新型コロナウィルスによる感染症拡大によって、ロードバイクの実走リスクが自分だけでなく、周囲にも及ぶと考えないといけない状況となってしまいました。このため、近所の住宅地の周回する練習は見送ることとしました。しかし、暦が進むにつれ、そもそも外を走ることに抵抗がある状況となったため、これを機会に早朝練習をするためにスマートローラーの導入を考え始めました
 スマートローラーの価格帯ですが、トップグレードのTACX NEO2Tや、WAHOO KICKER、ELITE DRIVO 2などが17〜20万円弱。ミドルグレードのTACX FLUXX、WAHOO KICKER CORE、ELITE DIRETO Xなどが11〜13万円程度といったところです。。
 予算的にトップグレードには手が出ず、ミドルグレードから選ぶことにしましたが、すでにコロナ禍の影響で一部機種は欠品状態となっており、選択肢としてはELITE DIRETO Xと、その下位機種のSUITOくらいしかありませんでした。価格が10万円を切るSUITOも魅力的だったのですが、SUITOはパワーメーター内臓ではなく、pioneerやstagesなどのパワーメーターの出力データをもとに負荷制御を行う仕組み(パワーメーターリンク)となっているため、3台のロードバイクを使い分けている僕の状況では毎回パワーメーターを付け替える必要があるため、選択からは外れました。
 実質的にDIRETO Xに絞られたものの、ローラーの騒音の確認ができないため躊躇していたのですが、たまたま実機を試す機会があり、フルード式よりも静かなことが確認できたので、DIRETO Xの購入に踏み切りました。なお、24回払いの家庭内ローンです…

・使用感

 この記事を書いている時点で約2週間ほど使用しています。

 まず肝心となる騒音ですが、スマートフォンの騒音測定アプリで計測した結果は、平坦250wくらいの状況で、フルード式ローラーが70〜75db、スマートローラーが68〜72dbと数値としてはそれほど変わらないものでしたが、スマートローラーは高音域の騒音が減少しているため感覚としては随分静かになったように感じます。実際、廊下を挟んだ別室にいた子どもたちも、全然音がしないと言っていました。
 ローラーから床への振動はフルード式と変わらない程度にありますが、我が家は1階でローラー、家人の寝室は2階なので、環境的には問題は発生しませんが、アパートなど階下に住人がいる場合は対策が必要となるでしょう。

 次に走行感ですが、走行負荷のかかり方は実走に近い「かな」といった印象で、フルード式ローラーで感じていたストレスはかなり軽減されました。特に登りを低いケイデンスで登ることができる用になったので、ペースで登るときと、ギアを掛けて登るときのメリハリがつけられるのは大きなメリットだとおもいますし、画面上平坦でも、ずっと3%で登っているような感覚とオサラバできたのはうれしいことです。

 最後に自転車のパワーメーターと、DIRETO Xの出力値の差ですが、僕が使っているSTAGES POWER(左脚のみ測定)とDIRETO X
の出力値を比較すると、10〜15%くらいDIRETO Xが高めの数値が出ています。
 下のグラフは平均3倍で30分走行後の10分間のデータです(3秒平均で加工)。この10分間の平均はSTAGESが208wDIRETO Xが235wで出力比はDIRETO Xが+13.7%でした。傾向としてはパワーが下がる状況で誤差が大きくなり。逆にパワーが上がる状況では誤差は小さいかSTAGESの数値が大きくなっています。
 データ自体は約50分とっていますが、その期間の平均誤差が15%だったので、僕の環境では10~15%DIRETO XがSTAGES比で高い値を出すと思っていいようです。

 

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・最後に

 スマートローラー、高価な機材ですが、天候に左右されず屋内で効果的なトレーニングができるので余裕があれば持っておきたい機材だと思いますし、買って後悔はしていません。ただホイールのように余裕で10年使うことができるようには思えないのがちょっと不安です。

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